再生可能エネルギー発電と同様に、当社グループはより低炭素なエネルギー供給を目指すうえでバイオマス燃料への取り組みを進めています。具体的には、石炭火力発電所において、石炭と混焼することでCO2排出削減が可能なバイオマス燃料であるブラックペレットの開発に取り組んでいます。ブラックペレットとは、木材を粉砕・乾燥して焙煎処理し半炭化したもので、従来のホワイトペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができます。そのため、既存設備を改造せずに石炭の使用量を減らし、再生可能エネルギー(ブラックペレット)の使用を増やすことができます。2021年には徳山事業所に続き、千葉事業所でもボイラで石炭との混焼試験を実施しました。現在、2022年商業生産の開始に向け準備を進めています。(ブラックペレット商品名:「出光グリーンエナジーペレット」)2030年に200万トンの出光グリーンエナジーペレット供給を目指し、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイなど東南アジアを中心に製造拠点拡大を進めていく予定です。
2021年4月から5月にかけて、千葉事業所で石炭とブラックペレットの混焼試験を実施しました。試験の目的は、GHG削減と循環流動層ボイラーでの燃焼技術を確立することです。今回、海外のデモプラントで製造された約1,000tのブラックペレットを、国内で荷揚げ・貯蔵・出荷・使用する流れの中で、千葉事業所のボイラーで石炭との混焼試験を行いました。今後、本試験の評価と本運用に向けた課題の洗い出しを進め、各部署が連携して当社のGHG削減や他社への販売活動に向けた取り組みを加速させていきます。
2019年6月6日、バンコクでカセサート大学が主催する“ASEAN Bioenergy and Bioeconomy Conference 2019”が行われました。当大学の招待を受け、石炭事業部の技術者が登壇し、木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)技術や現在タイで取り組んでいるブラックペレットの製造について講演しました。イベントのなかでは、現地バイオマス関連企業との意見交換なども活発に行われ、企業としてバイオマス燃料の事業化に関する発表をした当社に対し、参加者から実用化に期待する声が多く上がりました。