当社は化石燃料を主な事業とする原料及びエネルギー資源の生産から、お客様に安心してエネルギーの消費を行っていただくために安定したエネルギーをお届けしています。これら生産から消費におけるバリューチェーン上の事業を行う中で、生物多様性に与える影響を把握し、その対応策について検討、取り組みを行っております。
石炭の採掘事業は地下に埋蔵されている石炭を掘り出すため、露天掘りの場合には表土を削り取ることになります。その時点においては生物多様性の観点でマイナスの影響を与えることになります。しかしながら、採掘が終わった部分に表土を戻して、原状と同じ種類の植物を植えるという生物多様性の回復に努める活動(リハビリテーション)を行うことで、周辺環境への影響を最小限にとどめています。なお、当社では土地利用にも考慮しながら取り組んでいます。
当社の豪州の石炭鉱山では、過去に掘削した面積、リハビリテーションを実施した面積などを情報開示しており、今後も継続していきます。
2017年9月8日に発効したバラスト水管理条約(船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約)、IMOによるガイドラインに従い、外来生物による生態系の破壊の防止に取り組んでいます。バラスト水とは、船舶の安全確保のために重しとして使用する水(海水)のことです。条約により、定められた期日までにバラスト水処理装置の装備をすることが義務付けられたため、出光タンカー(株)の管理船舶(VLCC)は順次装置の搭載を進めています。2020年1月末時点で、APOLLO DREAM、APOLLO ENERGYへ電気分解方式またはフィルター・薬剤方式の処理装置の搭載が完了しました。
寄港地水域の生態系を乱さないよう、処理装置を使用したバラスト水中の有害な水生生物・病原体の殺滅や、出港時にバラスト水として積み込んだ海水と、生態系への影響が少ない大洋の海水との入れ替えによって対処しています。
当社の主要事業である製油所・石油化学工場のほとんどは国内に拠点を有しています。エネルギー消費および排水量は当社全体の90%以上であり、大気汚染、水質汚染は、生物多様性へ大きな影響を与えることになるため、操業に当たり十分な管理と取り組みが重要となります。
国内では、国や自治体にて厳格な環境排出基準が定められています。大気については、吸入や酸性雨による生態系への影響を防止するため、ばい煙、SOx、NOx等を、水質については、海洋汚染による魚介類、藻類等への影響を防止するため、COD、全窒素、全リン等を、低減処理するプロセスを当社の製油所・事業所で所有し、確実に排出基準を厳守する対応を実施しています。
また、当社は、生物多様性保全の重要性が近年のように広く叫ばれるようになる以前から、事業遂行に当たっては自然との共生を常に意識し、本分野に配慮をして事業を遂行してきました。
当社の事業主要拠点である製油所・事業所は、日本国内において1950年代から順次完工し稼働しています。一方で、ちょうどこの頃から工場の建設に際して、敷地内に緑地帯の設置が義務付けられるようになりました。当社はこの緑地帯の設置について単に法律で規定されている面積を確保するだけではなく、元々当該地には存在していなかった構築物を建設するに当たって、できる限り周囲の自然環境との調和を維持するため、法で要求されている面積を大幅に上回る緑地帯を設置してきました。こうした当社の姿勢は、外部機関からも高く評価されており、公益財団法人都市緑化機構が主催する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES:Social and Environmental Green Evaluation System、シージェス)」の評価において、北海道製油所と愛知事業所が5段階の最高位(SuperlativeStage)を取得しています。
また、これらの活動を通して、製油所・事業所において装置を新設する際には環境アセスメントを実施し、生態系調査で確認された希少植物などを保護しています。現在は、愛知事業所の装置建設の際に発見された希少種の植物「ミゾコウジュ」(環境省準絶滅危惧種に指定)を保護しています。