2020年は重大事故ゼロを達成しましたが、2021年6月にグループ製油所において協力会社員1名の方が死亡するという痛ましい事故が発生しました。また、当社グループの2020年労働災害件数は2019年比ほぼ同水準でした。
2021年度は、「無事故への挑戦」を継続し、きまりを守り・守らせる風土の定着を図り、命を守るためのルールの順守、非定常操作・作業時における作業者目線に立った危険源の特定と対応、協力会社などへの安全配慮の活動を強化しています。また、各部室・主要関係会社が自律的に安全環境管理のPDCAを推進する中で、プロセス・設備を含めた網羅的な潜在危険源の発掘と適切なリスクアセスメントによる対策により安全・安定操業の継続に取り組んでいます。
2005年以降実施してきた設備構造強化等の地震対策について、2020年度は、2019年度に制定した「地震リスクマネジメント指針」の下、具体的な課題について検討を進めるとともに、従来の取り組みを踏まえ、新たな考え方を反映したとして「新地震リスクマネジメント指針」に見直しました。
当社では厚生労働省、中央労働災害防止協会主唱による「全国安全週間」に以下の取り組みをしています。
当社グループの製油所・事業所は従来、自然災害に備え、対応の強化に取り組んでいます。地震に関しては、法令で定められた想定地震強度に対して機器などの耐震性を評価し、必要に応じて補強に取り組んできました。さらに、十勝沖地震などを教訓に、法令の基準を上回る想定地震強度に対しても評価・改善を実施してきました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、高圧ガス設備に関する法令が強化され、基準が見直されました。それに伴い、当社グループ製油所・事業所のLPGを貯蔵する球形タンクなどについて、支持構造物の耐震性の向上を目的に、補強工事を計画的に実施しています。
2020年度においては、強靭化補助事業を活用した製油所・事業所および油槽所の設備補強に取り組んできました。今後も当社グループはさらなる耐震性強化を検討していきます。
当社グループの製油所・事業所では各所の安全環境部門が中心となり、製油所・事業所の安全・保安の確保と環境保全を推進しています。さらに、製油所・事業所のパートナーである協力会社と連携して日常の安全点検を徹底し、事故の未然防止に万全を期すとともに、万一の場合に備え自衛防災隊を組織し、定期的に防災訓練を実施しています。具体的には、自然災害をはじめとする災害発生時の応急措置、防災活動などの対応を速やかに実施するために、定期的に協力会社も含めて過去の災害などを元に災害想定を作成し、防災訓練を実施しています。また、大規模地震による津波発生を考慮し、避難訓練も実施しています。
また、当社の製油所・事業所では、保安技術の高度化を踏まえた保安力の向上として、先進的な技術の活用、高度なリスクアセスメント、高度な教育・訓練等に取り組んでいます。その結果、高圧ガス保安法にて高度な保安の取り組みを行っている「スーパー認定事業所」として以下の製油所・事業所が認定されています。
2020年2月、当社は東京油槽所の防災能力向上のため、新たに防災車両を配備しました。「海水利用型消防水利システム」を搭載しており、首都直下型地震などの災害が発生し、上水道が使用できなくなったときでも、海水を利用して4000ℓ/分(これまでの消火ポンプと同等)の消火用水を確保できるのが特長です。これからも、グループ各拠点における防災能力向上に努めていきます。