従業員の成長

考え方

出光興産は人の育成を経営の目的に据え、企業理念・行動指針に基づいた教育研修体系を2020年に策定しました。行動指針を高い次元で体現していく人財を増やすため、行動指針のうち特に高めていきたい「自立・自律」「変革」「共創」およびそれらの軸である「成長」については「高めていく発揮能力」として、さらに詳細に設定しています。「先見」「挑戦」「決断」「協働」「完遂」「改善」「育成」という7つの観点において求める姿勢や行動のレベルを細かく定義しており、自身の現在のレベルを振り返るとともに、成長に向けて行うべきことを明確にすることが可能となっています。

企業理念・行動指針に基づいた教育研修体系

戦略

教育研修体系の全体像

教育研修体系のベースは、発揮能力を高めるための「コンピテンシー開発」と考えています。加えて、当社では単なる職務上の成長だけでなく、人間としての成長も支援していきたいと考え、教養を高めるためのプログラムや、異なるライフステージの社員を支援するプログラムも準備しています。全ての社員が「自身が主役である」という意識を持てるよう、積極的な姿勢で、社会に貢献する人材に成長することを期待しています。

●2023年度教育体系

2023年度教育体系

指標と目標

教育研修実績

教育研修はオンライン、集合対面それぞれのメリットを生かして開催しています。「コンピテンシー開発」「経営人財の育成」「自律的ライフキャリア形成支援」「その他の成長支援」に紐づく研修・学習機会などを通じて、参加者の職務および人間的な成長を支援しています。

●研修時間・投資額実績

単位 2020年度 2021年度 2022年度 2030年
(目標)
研修時間 総時間 時間 57,581 81,653 74,722
一人当たり 10.9 15.6 12.8
研修投資額 総額 千円 256,000 235,400 247,810
一人当たり 48 43 43 100
ESGデータ>社会>研修実績

取り組み

コンピテンシー開発

メンター研修

2019年度から新入社員育成を目的に、メンター制度を導入しています。「メンター」とは育成指導役の先輩社員のことであり、その育成指導力向上を目的として、メンター研修を実施しています。新入社員に、各自のメンターの育成指導についてアンケートを行い、研修中にその結果を参加者にフィードバックすることで、メンターの意識向上にもつながっています。

インクルージョン研修

個々の潜在能力を最大限に引き出すための心構えやスキルを学び、新たな価値創造を起こせる社員を育成することを目的に、2020年度よりインクルージョン研修を実施しています。アンコンシャス・バイアスの自覚を促したうえで、発信力・傾聴力、コーチング・フィードバック、ファシリテーションといったスキルを学びます。
アンコンシャス・バイアスを意識してスキルを職場で活用し、多様な意見をぶつけ合うことで、変革の芽が生まれ続ける風土づくりを目指します。

経営人財の育成

リーダーシップ形成を目的とした異業種交流研修

自己の信念に基づいたリーダーシップを発揮できる人材の育成を目的として異業種交流研修を2016年度から実施しています。
半年にわたる研修では、異業種の社員との相互学習を通じて多様な価値観や考え方に触れ、未来への創造的な構想力を身に付けます。併せて自社DNAの体現という使命感、次世代を担う自分らしいリーダーシップの在り方を体験を通じて修得しています。

自律的ライフキャリア形成支援

自律的ライフキャリア形成支援施策・制度の全体像

社員本人とその上司とのコミュニケーションを中心に、キャリア形成の観点から両者を支える仕組みを構築しています。

自律的ライフキャリア形成支援施策・制度の全体像
自律的ライフキャリア形成支援施策・制度の全体像
自律的ライフキャリア形成支援施策・制度の全体像

ライフキャリアドック(キャリアの定期健診)

厚生労働省の推奨する「セルフ・キャリアドック」の出光版として構成した取り組みです。世代別のキャリア開発研修から始まり、国家資格であるキャリアコンサルタントとの面談、職場の直属上司との面談を1サイクルとして、定期的に自身のライフキャリアを見つめ、自己理解を深めることで、将来に向けた自律的ライフキャリアの構築につなげる仕組みを提供しています。

●2022年度受講実績

対象世代
2022年度受講者数
2023年度募集枠
入社2~4年目
37
100
30才前後(28~32才)
78
100
40才前後(38~42才)
55
100
50才前後(48~52才)
51
100
55才前後(53~57才)
66
100
287
500

●ライフキャリアドック(出光版セルフキャリアドック)の概要と流れ

ライフキャリアドック(出光版セルフキャリアドック)の概要と流れ

セルフマネジメント研修

役職定年予定の社員(当該年度4月1日時点で59才の役職者)のうち、役職定年後の継続勤務を希望する社員を対象に、役職退任後の働き方について考える研修を実施しています。

ライフキャリアサポートセンター

ライフキャリアサポートセンター(LCSC)は、「社員一人ひとりの自律的なキャリア形成」を支援することを目的とした組織です。社員はライフキャリアに関する相談を、上司とのMBO面談などに加えて、LCSCに常駐するキャリアコンサルタント(国家資格保有者)に、いつでも相談することができます。
LCSCは評価・処遇といった人事権を持たず、守秘義務がある専門相談窓口として相談対応を行っています。相談を受け付けたキャリアコンサルタントは、社員との対話を通じて、当人のライフキャリアの新たな視点や、気付きを促しています。また「非常勤アドバイザー」を社内から選任し、多様な相談に応える支援体制としています。相談内容に合わせ、キャリアコンサルタントとの2者面談の後に、相談者の同意のうえ、非常勤アドバイザーを交えた3者面談もコーディネートします。
2021年7月~2023年7月末までの相談実績は約450件です。LCSCでは個別面談を通じ見えてきた課題への対応として、部室長をはじめとした役職者の「キャリアレポート公開」、「ライフキャリアフォーラム開催」などのキャリアを考える機会づくりや、上司向けに「傾聴」や部下へのフィードバックの大切さを再確認するための面談力強化演習にも取り組んでいます。

●ライフキャリアサポートセンターの位置付け

ライフキャリアサポートセンターの位置付け

●キャリア相談の支援体制

キャリア相談の支援体制

※ 各部門の業務内容を熟知、あるいはライフイベントを乗り越えてきた従業員を選任

キャリアチャレンジ

キャリアチャレンジ制度は、人財を求める部署が社内で募集し、社員が自発的に応募することで、異動につながる制度です。自身の強み・弱みおよびライフキャリアプランを見つめ直す機会として、自律的キャリア形成を促すとともに、やりがいの向上を図ることを目指しています。本制度は2020年度よりスタートし、2022年度は約100件の募集を行いました。
今後、さらに分野・職種を拡大し、部門を超えた人財交流を活性化することで、多様性に富んだイノベーションを起こす組織づくりに取り組んでいきます。

自己都合退職者の再雇用

キャリア採用のスキームを通じて、一度当社を退職した社員を再度社員として迎えています。再入社後は、多様性に富んだ組織の構築に貢献するとともに、異なる業界・企業で活躍した経験・スキルを生かし活躍しています。

キャリアレポート(「私のキャリア」)公開

2022年4月から「社員一人ひとりの自律的なキャリア形成」の参考として、部室長の「経歴」や「今の自分を形成した・変えた仕事経験」が分かるレポートを社内ポータルサイトで公開しています。
このレポートは、社員一人ひとりが自身のキャリア形成を考える際のヒントや材料になっており、2023年1月には次長のレポート、2023年6月には課長のレポート公開と、より身近で、様々な世代の方々のキャリア紹介へ展開しています。

ライフキャリアフォーラム開催

ライフキャリアフォーラムは、社員一人ひとりが自身のライフキャリアを見つめる・考える機会提供の施策として開催しています。「私のキャリア」を題材に、過去の大きな環境変化(転機)を現在の自分にどのようにつなげてきたのかを部室長たちが語るトークセッションイベントを全社版で開催し、拠点版では、それぞれの拠点で活躍し、より身近な存在に感じられる社員に登壇してもらい開催しています。

ジョブ・フェスティバル

2023年7月のジョブ・フェスティバルの様子

自律的ライフキャリア形成の支援策として、2023年7月にジョブ・フェスティバルを開催しました。本社ビルイベントゾーンにて対面でのコミュニケーションに重点を置き、オンラインも組み合わせたハイブリッド形式で実施し、前年を上回る42の職場・グループ会社がブースを設置しました。ブースを訪れた社員が、自社に広がる様々な業務や役割に対する理解を深めるとともに、部門を超えた社内交流の場として本イベントを活用しました。オンライン参加も含め、2日間で延べ約500名の社員が参加しました。

社内での副業機会の提供

社員が現職に在籍したまま、部室横断のプロジェクトや他部室の業務に携わる機会を提供しています。自身のキャリア形成に生かしていくとともに、社員が有する知見を、部室を超えて社内に展開することを目的としています。今後は、部門を超えた活動をさらに促進していくため、案件や参加人数を拡大し、本格展開を図っていきます。

社外副業

社員が勤務時間外に、他の会社などの業務に従事する場合には、会社が定める順守事項に反していないことを人事部が確認したうえで、これを認めています。

週1出向プログラム

本取り組みは社員の経験やスキルを活かし地域・社会の課題解決や業務改善などに貢献することを目指しています。
2023年度は、山口県、千葉県でトライアルを行い本格運用に移行しました。山口県では長門湯本温泉まち(株)と連携し、社員がこれまでに培った経験やスキルが地域への貢献につながることや、社員の新しい働き方にもつながることを確認しました。千葉県では週1先生プログラムとして、社員が中学校で特別授業や校務のサポートを行うとともに、松戸市教育委員会とも連携し、学校教育に関わる様々な課題に取り組んでいます。

リスキリング・その他成長支援

実践的な英語学習の機会の提供

希望する社員を対象に、各自の語学レベルに応じたレッスンを提供しています。受講料の一部を会社負担とし英語学習の機会を提供しています。またTOEIC受験料を会社が負担し(上限年2回)、自身の語学レベルを測る機会を提供しています。

オンライン学びコミュニティSchoo(スクー)

各自の強み・課題に応じて自己研鑽できるeラーニングを導入し受講料を全額会社が負担しています。社員は、各自が高めたいテーマの講座(ビジネススキルや思考術、語学、経済・社会、リベラルアーツ、DX)を受講することが可能です。

通信教育

ビジネススキルや思考術、語学の他に、部門固有で必要とされる専門資格取得のための通信講座を提供しています。テキストによる学習や、レポート作成を通じてスキルアップを図ります。

DXを支える人財育成

デジタル変革>取り組み>DXを支える人財育成