「人の安全を最優先に確保するよう、経営資源の適切な配分、設備・プロセス・仕事のしくみの維持管理と改善を通してリスクの低減・排除を行い、事故・災害の撲滅を図るとともに、安全文化の醸成に努める。」を安全確保の理念としています。この理念に基づく安全の確保は経営努力の結果であり、事故・災害ゼロはこの分野の最大の成果です。この認識に立ち、生産・物流・販売・研究開発などの全ての事業活動、全ての業務、全ての行動の各場面・段階におけるさまざまな価値判断の基準において、安全の確保を最も重要かつ優先すべき基準とし、以下の具体的な方針を定めて、当社に関係する全ての人々の健康と安全・安心に努めています。
当社グループは、「安全・衛生・環境」を経営の基盤と位置付けており、これらの確保・保全の取り組みを推進する安全環境本部を設置しています。安全環境本部は、安全環境本部長、安全環境副本部長、関係する部室長および主要関係会社の社長ならびにその他安全環境本部長が指名する者と事務局で構成されています。代表取締役社長から委任を受けた保安・環境担当役員(取締役)が本部長を務め、安全衛生環境に関わる最高責任者として本部を統括し、安全環境・品質保証部が事務局を務めています。
本部の役割は、安全衛生環境に関わる中期計画や年度基本方針・重点課題の決定、監査などを通じた実績の把握・評価、安全・衛生・環境マネジメントシステム※の維持・見直し・改善ならびに各部室・主要関係会社に対する継続的改善に必要な経営資源の確保の指示などです。原則として年1回、12月に開催する安全環境本部会議において、進捗を確認するとともに、当社グループの次年度基本方針などを決定します。
各部室・主要関係会社においては、安全環境担当役職者を選任し、管下の事業所を含めた全体の取り組みを管理・推進しています。各部室・主要関係会社は毎年、本部から示される当社グループの年度基本方針や重点課題にのっとり、PDCAサイクルを自律的に回しています。
さらに、各部室・主要関係会社の活動を確認・促進させるため、本部長または経営層が現場に出向いて行う安全環境指導・安全環境巡回や事務局による安全環境監査を実施しています。特に当社の製油所・事業所においては、本部長が安全環境指導を年1回実施し、事務局が安全環境監査を年1回実施しています。本社各事業部の安全環境を担当している部署に対しては3年に1回、他拠点については事業所の安全環境リスク・安全環境管理の状況を考慮して頻度を決定し、安全環境監査を実施しています。監査により安全環境上の改善点が見つかった場合には、事務局は1件ごとに対応計画決定からその完了までをフォローしています。
また、事業所の大規模災害防止のために、より有効な安全・保安対策の樹立を企図して、取締役会または社長の諮問機関として社外有識者を含めた委員などから構成される安全保安諮問委員会を設置しています。
監査実施数 | 14 | |
---|---|---|
指摘総件数 | 181 | |
重大な不適合 | 3 | |
軽微な不適合 | 14 |
「無事故への挑戦」を継続し、次の2つを最優先課題として推進する。
その結果として、次の3つを必達する。
「重大事故“ゼロ”」、「重篤な人身事故※“ゼロ”」、「環境異常“ゼロ”」
重大事故 | 0 |
---|---|
死亡事故 | 1 |
休業事故 | 36 |
不休業事故 | 70 |
環境異常 | 1 |
社員 | 0.74 |
---|---|
協力会社員 | 0.41 |
社員 | 0.01 |
---|---|
協力会社員 | 0.52 |
2021年6月に昭和四日市石油(株)にて協力会社社員1名が死亡する痛ましい事故が発生しました。昭和四日市石油では、再発防止策として、「安全に係る規程見直し」、「安全情報の確実な伝達が行われるよう工事管理強化」を実行し、社員および協力会社各社への周知徹底を実施しました。グループ内各事業所には類似事故再発防止策として、構内危険場所の表示および立入禁止措置が確実に実施されていることの再確認と徹底を図りました。
2022年も引き続き、「無事故への挑戦」を継続し、「命を守るためのルール」などを守り・守らせる風土の定着を図るとともに、非定常操作・作業時における作業者目線に立った危険源の特定と対応を強化しています。具体的には、重篤な人身事故に至る可能性のあった事例を対象に全社事例検討会を開始し、重篤な人身事故の撲滅を図っています。
また、各部室・主要関係会社が自律的に安全環境管理のPDCAを推進する中でも、プロセス・設備を含めた網羅的な潜在危険源の発掘と、適切なリスクアセスメントによる対策により、安全・安定操業の継続に取り組んでいます。
表彰対象 | 表彰・受賞名 | 達成記録 | 表彰日 | 記録達成日 | 主催 |
---|---|---|---|---|---|
マッセルブルック鉱山(オーストラリア) | 無事故無災害記録 銀賞 |
2,400日 | 2022/4/1 | 2021/12/7 | 安全環境本部 |
出光バルクターミナル(株) | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,200日 | 2022/7/27 | 2022/3/19 | 安全環境本部 |
高松アスファルト基地 | 2022年度安全活動優良事業所 | ー | 2022/9/30 | ー | 安全環境本部 |
出光ルブテクノインドネシア カラワン工場 | 無事故無災害記録 銀賞 |
460万時間 | 2022/10/24 | 2022/4/22 | 安全環境本部 |
(株)出光プランテック徳山 | 無事故無災害記録 銅賞 |
280万時間 | 2022/12/21 | 2022/8/19 | 安全環境本部 |
(株)エス・ディー・エス バイオテック つくば研究所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2022/12/23 | 2022/8/12 | 安全環境本部 |
出光リテール販売(株) 関西カンパニー | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | ー | 2022/10/1 | 安全環境本部 |
出光エンジニアリングベトナム | 無事故無災害記録 銅賞 |
150万時間 | 2023/1/20 | 2022/6/30 | 安全環境本部 |
函館油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2023/2/3 | 2022/12/5 | 安全環境本部 |
徳山事業所 | 無事故無災害記録 金賞 |
570万時間 | 2023/2/9 | 2022/11/12 | 安全環境本部 |
福岡油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2023/2/10 | 2022/10/2 | 安全環境本部 |
材料開発センター、生産技術開発センター | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2023/3/1 | 2022/11/16 | 安全環境本部 |
出光ユニテック(株) 商品開発センター | 無事故無災害記録 銀賞 |
2,800日 | 2023/3/1 | 2022/11/29 | 安全環境本部 |
プラロックアジア(タイランド) | 無事故無災害記録 銀賞 |
2,400日 | 2023/3/29 | 2022/12/16 | 安全環境本部 |
表彰対象 | 表彰・受賞名 | 達成記録 | 表彰日 | 記録達成日 | 主催 |
---|---|---|---|---|---|
高松アスファルト基地 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/4/8 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
三重プラント | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/4/8 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
昭石化工(株)瀝青袖ヶ浦事業所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/4/8 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
広島小屋浦油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/4/26 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
日本グリース(株)神戸工場 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,200日 | 2021/10/1 | 2020/11/19 | 安全環境本部 |
日本グリース(株)技術研究所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/10/1 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
碧南LPG基地 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/10/14 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
釧路油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/25 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
釧路西港油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/25 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
八戸油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/25 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
秋田油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/25 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
(株)昭友 秋田共同油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/25 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
広島油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/29 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
高松油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/29 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
高知油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/29 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
長崎油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/29 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
唐津油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/11/29 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)苫小牧油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)青森油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)八戸油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)松本油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)清水油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)小倉油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)福岡油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
ジャパンオイルネットワーク(株)八代油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/13 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
塩釜油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
貞山塩釜油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
高崎油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
日立油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
東京油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
八丈島油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
大井川油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
新潟油槽所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,200日 | 2021/12/20 | 2021/4/8 | 安全環境本部 |
出光エンジニアリング(株)国内工事グループ | 無事故無災害記録 銅賞 |
150万時間 | 2021/12/23 | 2021/8/31 | 安全環境本部 |
表彰対象 | 表彰・受賞名 | 達成記録 | 表彰日 | 記録達成日 | 主催 |
---|---|---|---|---|---|
出光ユニテック(株)兵庫工場 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,000日 | 2020/7/30 | 2020/2/19 | 安全環境本部 |
株式会社ペトロスター関西 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2020/9/15 | 2020/9/15 | 安全環境本部 |
永瀬石油株式会社 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2020/10/29 | 2020/6/29 | 安全環境本部 |
石油輸送サービス株式会社 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2020/10/29 | 2020/6/29 | 安全環境本部 |
プラロックアジア(タイ) | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,400日 | 2020/11/16 | 2020/3/21 | 安全環境本部 |
御前崎製造所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
2,000日 | 2020/11/20 | 2020/9/20 | 安全環境本部 |
徳山事業所 | 無事故無災害記録 銀賞 |
380万時間 | 2021/2/25 | 2020/12/15 | 安全環境本部 |
出光電子材料韓国 工場 | 無事故無災害記録 銀賞 |
2,000日 | 2021/3/8 | 2020/9/20 | 安全環境本部 |
出光ユニテック(株)三重工場 | 無事故無災害記録 銀賞 |
2,000日 | 2021/3/25 | 2020/9/20 | 安全環境本部 |
表彰対象 | 表彰・受賞名 | 達成記録 | 表彰日 | 記録達成日 | 主催 |
---|---|---|---|---|---|
徳山事業所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
190万時間 | 2019/4/18 | 2019/1/11 | 安全環境本部 |
優秀乗務員(137名) | 優秀乗務員表彰 | 無事故・無違反の継続 | 2019/5/24 | ー | 光運会 |
出光ルブインド パタルガンガ工場 | 無事故無災害記録 銅賞 |
230万時間 | 2019/7/12 | 2019/2/28 | 安全環境本部 |
生産技術センター | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,500日 | 2019/8/1 | 2019/5/9 | 安全環境本部 |
出光タンカー(株)‘’NISSHO MARU’’ | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/9/21 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
出光タンカー(株)‘’IDEMITSU MARU’’ | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/9/21 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
出光タンカー(株)‘’APOLLO DREAM’’ | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/9/21 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
出光タンカー(株)’’ASTOMOS EARTH’’ | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/9/21 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
出光ルブテクノインドネシア(ILTI) | 2019年度安全活動優良事業所 | ー | 2019/9/26 | ー | 安全環境本部 |
出光ルブテクノ(株)門司事業所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/10/31 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
機能材料研究所 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2019/12/6 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
(株)出光プランテック北海道 | 無事故無災害記録 銅賞 |
1,600日 | 2020/1/16 | 2019/8/17 | 安全環境本部 |
当社グループの製油所・事業所は従来、自然災害に備え、対応の強化に取り組んでいます。地震に関しては、法令で定められた想定地震強度に対して機器などの耐震性を評価し、必要に応じて補強に取り組んできました。さらに、十勝沖地震などを教訓に、法令の基準を上回る想定地震強度に対しても評価・改善を実施してきました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、高圧ガス設備に関する法令が強化され、基準が見直されました。それに伴い、当社グループ製油所・事業所のLPGを貯蔵する球形タンクなどについて、支持構造物の耐震性の向上を目的に、補強工事を計画的に実施しています。2020年度以降、強靭化補助事業を活用した製油所・事業所および油槽所の設備補強に取り組んできました。今後も当社グループは更なる耐震性強化を検討、実施していきます。
LPGタンク支持構造強靭化(徳山事業所)
災害時受け入れ能力強化を見据えた海上桟橋強化(昭和四日市石油(株)四日市製油所)
当社の製油所・事業所では、保安技術の高度化を踏まえた保安力の向上策として、先進的な技術の活用、高度なリスクアセスメント、高度な教育・訓練等に取り組んでいます。その結果、高圧ガス保安法にて高度な保安の取り組みを行っている「スーパー認定事業所」として以下の製油所・事業所が認定されています。
グループ精製会社では、西部石油(株)山口製油所(2021年6月4日認定)、昭和四日市石油(株)四日市製油所(2022年6月14日認定)もスーパー認定事業所として認定されています。
プラントの高経年化、熟練従業員の減少等に対応するため、IoT・ビッグデータの活用等の高度な保安の取り組みを行っている事業所が「スーパー認定事業所」として認定されており、産業界全体の保安力向上にも資することが期待されています。認定を受けた事業所に対しては、自主保安の規制合理化が適用され、国際的な競争力の強化につながります。
項目 | 通常事業所 | 認定事業所 | スーパー認定事業所 |
---|---|---|---|
連続運転期 | 1年間 (1年に一度運転を停止し検査) |
4年間等 (大臣に認められた期間) |
8年以下 (事業者が自由に設定した期間) |
完成・保安検査 | 都道府県が検査 | 事業者自らが検査 | 事業者自らが検査 |
検査方法 | 告示に定められた方法 | 大臣に認められた方法 | 事業者が自由に設定した方法 |
設置・変更工事 | 軽微な変更を除き、都道府県の許可 | 許可不要な軽微変更範囲の拡大 | 許可不要な軽微変更範囲の更なる拡大 |
認定期間 | - | 5年間 | 7年間 |
保安力の見える化(マーク) | - | 認定マーク | スーパー認定マーク |
当社では、全社横断的に先進技術の検証・導入を進めています。一例としては、AIを活用した診断技術の開発や連続配管肉厚測定システム、サイバーセキュリティ対策、VRによる体感教育や実践的なシミュレータなど、種々の技術を各所の状況に合わせて導入しています。
当社では厚生労働省、中央労働災害防止協会主唱による「全国安全週間」に以下の取り組みをしています。
全社教育においては、4月に実施する新入社員教育の中で、当社の過去の重大事故の映像などを用いて安全の啓発を行い、安全第一が経営の基盤であることを常に自覚するよう、意識付けを行っています。
製油所・事業所では、検査機器などにおいて放射性物質を使用しています。これらの取り扱いに際しては、「放射性同位元素等の規制に関する法律」などの法に基づき、社内規程類を設け、適切に管理しています。作業に応じて保護手袋、保護衣、保護面などによる遮へいを徹底し、作業手順の教育・訓練などの事前準備を十分に実施することにより、短時間に作業を終え、放射線に被ばくする時間をできるだけ少なくするような対策などを講じています。また取り扱い者の健康・安全管理のため、管理区域への立ち入り禁止措置、管理区域境界線の線量測定の実施(年2回)、管理区域内に立ち入る従業員の被ばく管理(個人被ばく線量計を着用など)を行っており、放射線業務従事者は年2回、健康診断を受診しています。さらには、放射性物質を含む廃棄物についても、許可を受けた廃棄事業者に依頼し、適切に廃棄しています。なお、当社が取り扱う放射性物質は、地域社会において被ばくに至る取り扱い量ではありません。
安全環境本部事務局の安全環境・品質保証部は、キーパーソンを対象に、社内規程に基づく役割と安全環境管理の基本を教育するための基礎研修や、安全環境管理能力を向上するための研修(レベルアップ研修、監査技能向上研修、事故故障解析研修、環境管理能力向上研修、リスクアセスメント研修)を実施し、自律的に自部門・自所の安全環境管理のPDCAを推進するための指導力を培っています。(2022年度は計13回実施)
延べ参加人数(名) | 延べ研修時間(時間) | |
---|---|---|
安全および環境 新任担当役職業務推進基礎研修 | 180 | 720 |
安全および環境 担当役職レベルアップ研修 | 108 | 756 |
事故故障解析能力向上研修 | 8 | 88 |
安全環境監査技能向上研修 | 180 | 720 |
安全および環境リスクアセスメント研修 | 131(一部), 29(二部) | 393(一部), 116(二部) |
合計 | 636 | 2,793 |
技術研修センターでは、中期育成計画に基づいて、全ての運転員をプロダクションエンジニア(PE)として育成するための教育を行っています。PEは、プロセス、設備およびシステムを論理的に理解し、またそれらの相互関連を把握して総合的な判断を行い、安全かつ高効率な製油所・事業所操業の最適運転を実行できる運転部門の技術者であり、当社グループの製油所・事業所の安全を担保しています。
技術研修センターでは、保安教育の強化を図っています。例えば、直長または代行者(直長補佐)を対象に、指揮者としての緊急時・非常時の措置判断力向上を目的とした直長級研修を実施しています。この研修は、実際に徳山事業所で運転していた脱硫装置を改造した訓練プラントを使用し、受講者が運転チームを編成して実施する、自社開発による国内唯一の高度な訓練です。受講者は、夜間・休日に異常が発生し、事象が進展する中での通報、初期活動、緊急停止、防災活動など、現実に即した内容の訓練を実施しています。また、製油所・事業所の新任技術系課長などを対象に、保安管理マネジメント研修を実施しています。この研修は2回に分けて実施され、各受講者は、基礎研修で保安管理上のポイントを再確認し、フォローアップ研修で保安強化に向けた問題認識と行動計画を明確にします。その他、行政、団体向けの体験研修や、地域と連携した人材育成の一環として、社外研修センターとの共催で当社の危険体感設備・VRを活用した安全感性向上講座を開催しており、社外からも高い評価を受けています。
万が一、火災・爆発などが発生した場合、製油所・事業所内外への被害を最小限に抑えるために、初期消火活動や拡大防止措置の実施が非常に重要です。そこで、防消火基礎理論に基づいた実践的訓練の積み重ねが重要との認識の下、防災要員の訓練に力を注いでいます。例えば、防災活動の基礎を座学で学び、実機での資機材取り扱いやホース展張訓練を計画に沿って実施しています。特に北海道製油所、千葉事業所、愛知事業所では、実火訓練場を使用した接炎訓練も実施しています。
千葉事業所における総合防災訓練(2019年9月)
愛知事業所における大型タンカー緊急離桟訓練(2019年9月)
安全環境・品質保証部は新潟防災訓練所を有しており、社内はもとより業界各社などから毎年多数の受講生を継続的に受け入れています。訓練は、事業所で発生する設備別の火災を想定しており、理論(座学)と実践(実火訓練)により油火災の性質に適した初期消火法を習得することで、事業所の初期消火体制の強化を図っています。なお、本訓練所は貴重な体験や消火技術の習得ができる施設として各方面から高い評価を頂いています。