Risk Management

リスクマネジメント

基本的な考え方/推進体制

基本的な考え方

当社グループは、事業活動に関わるさまざまなリスクを未然に認知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安定を図っています。事業活動に関わるリスクを「業務リスク」「経営リスク」の2つに分類して対策を推進しています。「業務リスク」は、事故、災害、コンプライアンス違反、業務ミス、製品の瑕疵、クレーム、環境汚染、情報漏洩、サイバー攻撃、テロ、労務問題、経済安全保障、人権問題、サステナブル調達不備などに代表される業務遂行を阻害して損失のみを生じさせるリスクです。また、「経営リスク」は、事業活動に関わるリスクのうち、業務リスクを除く利益または損失を生じさせるリスクです。投資や財務をはじめとする現在の事業戦略におけるリスクに加え、将来想定される事業環境のリスクもこれに含みます。

事業活動に関わるリスク
  • 国際情勢や経済環境などの変化によるリスク
  • 事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク(商品市況、調達、カントリー、為替)
  • 気候変動・環境規制に関するリスク
  • 事業投資に関するリスク
  • 人権に関するリスク 
  • コンプライアンスに関するリスク
  • 知的財産に関するリスク
  • 自然災害・事故などによるリスク
  • 個人情報管理に関するリスク
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関するリスク

業務リスクについては、リスク・コンプライアンス委員会にて次のように定め、マネジメントしています。

重点リスク
経営層が常時監視すべき、経営インパクトの大きい全社共通のリスク(重点法対応、危機リスクなど)
社内外の直下の状況を踏まえ適宜更新
重要リスク
各部門、関係会社などでのリスクアセスメントに用いる、より細分化した網羅的なリスク一覧
実際に発生したリスク事象や、主要部門へのリスクヒアリング(1回/ 年)を基に毎年更新
さらに中期的にリスクアンケートを実施し、包括的な見直しを行う

経営リスクについては、TCFD提言に沿った形で気候変動のリスクと機会を的確に捉え、状況を把握し、経営に反映しています。

推進体制

取締役会が監督する「リスク経営委員会」は、グループ経営に関わるリスクマネジメント方針の決定とマネジメント状況のモニタリングなどを実施しています。社長が委員長を務め、執行役員、関係部門長などで構成され、原則として半期ごとに開催しています。他の委員会などに対し重要な業務リスクおよび経営リスクに関する報告を随時求めるほか、本委員会の実施状況について、原則として年1回、取締役会に報告しています。

また「リスク経営委員会」の下、業務リスクに対応する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、適時、迅速に必要な対策を取ることを通して、業務リスクに関する全社リスクマネジメントを推進しています。定期委員会は四半期に一度、開催しています。当社グループ全体の重点ならびに重要リスクの更新、さまざまなリスク顕在化の兆候や新たなリスクの把握と評価、およびその他業務リスク全般に関する事項を審議、その対策の支援と進捗管理を実施し、リスク経営委員会へ上程する役割と責任を有しています。

リスクマネジメント推進体制
図
出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

リスクマネジメントの取り組み

危機対応力のさらなる強化

当社グループは危機対応に関する最上位の規程として「危機発生時の対応規程」を策定し、対応方針や危機レベルの捉え方、連絡系統、対策本部の設置方法などについてまとめています。

グループ内のリスク関連情報は、発生当初から本規程に基づき発生現場の主管部門および総務部リスクマネジメント課に速やかに共有され、それをリスクマネジメント委員と随時共有するとともに、社会的影響や被害を最小限にとどめるべく、コーポレート部門を含む関係部門が発生現場のリスク対応の支援または主導に当たります。また消防、警察などの関係官庁や自治体、お客さまなどの社外ステークホルダーとの連携を図ります。

さらには、経済安全保障をはじめとする、現在から今後にかけて経営に多大な影響を及ぼすことが予想される潜在的なリスクについても、その調査・検討・対策立案を実行する全社横断のタスクフォースをリスク・コンプライアンス委員長の指示により適時・迅速に組成し、その進捗および結果をリスク経営委員会、ならびに取締役会に報告する体制を整えています。

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の取り組み

当社グループは、首都直下地震版、南海トラフ巨大地震版、新型インフルエンザ版のBCPを策定しています。各種BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携や課題を確認し、実践的な対応力の強化に努め、そのフィードバックをBCP改定に反映しています。製油所・事業所・工場などにおいては、各種危機対応規程類に基づき、拠点全体で防災訓練を定期的に実施しています。

また2015年度に、内閣府より指定公共機関に指定されたことを受け、2019年12月に「防災業務計画」最新版を提出しました。指定公共機関として、各都道府県でのタンクローリーの緊急車両登録を進めています。

  • ※当社の「防災業務計画」をご覧いただけます。 
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み

5類移行となった2023年5月に、対策本部を解散しました。以降は、季節性インフルエンザなど同様に、発熱者が出た場合の留意事項を各職場単位で実践し、従業員の安全確保と感染拡大防止を推奨しています。

総合防災訓練の実施

2007年から、BCPの実効性を高めることを目的に「総合防災訓練」を毎年実施しています。2022年度は9月に16回目となる訓練を実施しました。難易度を上げ、「南海トラフ半割れケース・臨時情報(巨大地震警戒)発表」に対し、本社・関係支店・関係製油所の対応を二部形式で確認しました。来るべき大規模地震のさまざまなケースに対応し、よりBCPを盤石なものにしました。同時に全社安否確認訓練も実施し、関係会社を含め約14,000名の従業員が速やかに安否報告を行いました。訓練で得た課題や気付きをBCPに反映させ、当社の危機対応力の向上を図っています。

写真

総合防災訓練(2022年9月)

日本政策投資銀行BCM格付 最高ランクを取得

当社は(株)日本政策投資銀行(DBJ)の「BCM格付融資」制度において、最高ランクである「ランクA」を、2019年度に石油元売企業として初めて取得しました。

写真

東京油槽所での東京消防庁との合同消防演習(2022年6月)

出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

情報管理・セキュリティ管理

情報管理・セキュリティ管理の考え方

当社グループでは、「情報セキュリティ基本方針」の下、情報資産の機密性および情報システムやネットワークの可用性・保全性を確保し、情報技術を利用してお客さまサービスの維持向上に努めています。また、お客さまに関する情報は、当社においては「顧客情報管理基準」を定め、適切に収集・利用するとともに、安全かつ最新の状態で保存し、適切に廃棄します。

「ITシステム利用に関するセキュリティ基準」についての教育として、全てのITシステム利用者(従業員・派遣社員・外部委託先など)を対象にした「情報セキュリティに関するeラーニング」を毎年実施しています。これによりITシステム利用者に情報管理の徹底を図っています。

制御系システムに対するセキュリティについては、「制御系システムセキュリティ協議会」を設置し、「制御系システムセキュリティガイドライン」を指針として、グループ全体で組織的・計画的にセキュリティ対策を推進するとともに、各製造拠点でPDCAサイクルを回しながら継続的に改善を図っています。また、制御系システムの利用者および管理者を対象とした制御系eラーニングと各製造拠点でのインシデント対応訓練を毎年実施しています。

さらに、情報系・制御系共に、各部室・製造拠点において自主点検を行い、セキュリティの内部監査を定期的に実施しています。また、巧妙化するサイバー攻撃の影響を低減するため、不正侵入や重要情報の持ち出し防止など、システムによる多重防御の仕組みを実現しています。

情報漏えい他、重大なセキュリティインシデントが発生した場合は「危機発生時の対応規程」「情報管理要綱」にのっとり対処します。

2021年度の重大な情報セキュリティ違反件数 0件
情報セキュリティ基本方針
  1. 出光グループは、情報資産の機密性および情報システムやネットワークの可用性・保全性を確保し、情報技術を利用したお客さまサービスの維持向上に努めます。
  2. お客さまに関する情報は、適切な保護対策を講じて漏えい、改ざん、破壊などから守ります。
  3. 情報システムやネットワークの可用性および保全性・機密性を確保し、お客さまおよび取引先などの関係者にご迷惑が掛からないよう努めます。
  4. 当社の従業員や派遣社員・外部委託先などに対し、教育・啓蒙活動などにより情報セキュリティの重要性を認識させ、情報および情報システムを適正に利用するよう周知徹底を図ります。
  5. 出光グループは、セキュリティポリシーの順守状況などを点検・評価するため、定期的に監査を実施し、セキュリティ確保に努めます。
情報管理・セキュリティ管理推進体制
図
社内教育
人財の育成

セキュリティの企画・実装・運用を含めICT人財のCDP(キャリア開発計画)を定義したうえで、ICT部門に所属する個々人のスキル評価と目標設定を実施し、計画的に人財を育成しています。

情報セキュリティに関するeラーニング

毎年、全てのITシステム利用者が順守すべき規則を学習することを目的に、「情報セキュリティに関するeラーニング」(日本語、英語、中国語に対応)を実施しています。全てのITシステム利用者を対象に、2021年度は2022年1~3月に実施し、16,473名が受講、受講率は100%でした。

制御系eラーニング

2019年度から、制御系システムの利用者および管理者を対象に制御系eラーニングを実施しています。2022年度は1~3月に実施し、5,217名が受講、受講率は100%でした。

メール訓練

標的型攻撃メールからのコンピューターウイルス感染リスクなどの低減および啓発のため、四半期に1回、標的型攻撃メール訓練を実施しています。

啓発メール

情報セキュリティの注意点を、月次で啓発メール「サイバーセキュリティレター」として配信しています。

日付 研修名 対象者 備考
2019年
11月
ITサミット2019 主に海外拠点のIT担当者30名 セキュリティ強化の知識共有と事業をサポートするITツールの提供を目的に2回目の開催
出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

個人情報保護

基本的な考え方

当社グループは、特定個人情報※1を含む個人情報および匿名加工情報※2(以下総称して「個人情報等」)の取り扱いに関し、個人情報等の保護に関する基本方針を定め、これを遵守するとともに、取り扱う全ての個人情報等をより安全かつ適切に管理します。

  • ※1 個人番号および個人番号をその他内容に含む個人情報
  • ※2 特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報で、当該個人情報を復元することができないようにしたもの
図
個人情報等の保護に関する基本方針
  1. 法令等の遵守
    当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」およびその他の関係法令、関連する政省令、並びにガイドライン等を遵守します。
  2. 取得に関する事項
    当社グループは、適正かつ公正な手段により個人情報等を取得するものとし、法令により認められている場合を除き、ご本人に対して、利用目的を予め明示または公表し、または取得後速やかに通知もしくは公表いたします。また、要配慮個人情報を取得する場合は、法令により認められている場合を除き、予めご本人の同意を得るものとします。
  3. 利用に関する事項
    当社グループは、法令により認められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内で、個人情報等を利用します。
  4. 提供・開示に関する事項
    当社グループは、法令により認められている場合を除き、個人情報をご本人の同意なく、業務委託先、共同利用会社、事業承継先以外の第三者に開示・提供いたしません。
  5. 安全管理措置に関する事項
    当社グループは、個人情報等への不当なアクセス、または紛失、破壊、改ざん 、漏えい等を防止するために必要かつ適切な安全管理措置を行い、個人情報の保護および個人情報管理体制の継続的な改善に努めます。組織ごとに責任者を明確にし、個人情報等を取り扱う従業者や委託先に対して、必要かつ適切な教育訓練および監督を行います。
    また、個人情報等は正確かつ最新の内容に保ち、利用目的が達成された場合で、かつ所管法令において定められている保存期間を経過した場合は、速やかに破棄・消去いたします。
    万一、漏えい等が発生した場合は、事案に応じて、速やかな是正措置を実施いたします。
  6. 個人情報等の開示等に関する事項
    当社グループは、保有個人データおよび特定個人情報ファイルの開示、訂正等(訂正、追加、削除、利用停止、消去または第三者への提供の停止をいいます。)のお申し出に対し、法令の定めに従い対応させていただきます。なお、開示しない場合又は当該データおよびファイルが存在しない場合は、その旨を回答します。
推進体制

個人情報保護に関しては、総務部を事務局として、各部門、関係会社に情報管理責任者を配置し、取り組みを推進しています。毎年、情報管理責任者会議を開催し、グループ内の教育を図っています。

2022年度の重大な個人情報保護違反件数 0件
出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ