先進マテリアルの開発加速やコンビナートの「CNXセンター」化の実現のために、社外の知を積極的に活用するオープンイノベーションを推進しています。
当社と国立大学法人東京工業大学(以下、東工大)は次世代材料の創成を目的として、2020年4月1日に「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」(以下、「出光協働研究拠点」)を東工大すずかけ台キャンパス内に開設しました。2000年代初頭より高分子材料分野を中心に幅広い領域で共同研究に取り組み、新規繊維・フィルム材料開発をはじめとして優れた成果を上げてきました。今回新設した「出光協働研究拠点」は、これまでの個別共同研究の枠を超え、「組織」対「組織」の連携により大型で総合的な研究開発を推進し、新たな価値創造を目指した次世代材料の創成と人材育成に取り組みます。
当社と東工大は、幅広い分野で高機能材料事業(潤滑油・機能化学品・電子材料・アグリバイオなど)を展開する当社の強みと、物質・材料をはじめとする広い領域にわたり、高度な学術的知見と最先端の科学・工学技術を保有する東工大の強みを融合し、新たな価値創造に挑戦し続けます。
クラゲはその美しい姿で水族館の人気者ですが、漁業や沿岸企業の事業などに悪影響を与えることがあり、廃棄にも費用がかかるため、資源としての活用が世界的に望まれています。関係会社の(株)海月研究所(以下、海月研究所)は、クラゲを原料とした有用成分を活用する技術を発明しました。クラゲ由来コラーゲンには再生が難しいとされている表皮の再生促進効果が確認され、再生医療分野や美容分野での展開が期待されています。また、クラゲ由来ムチンは変形性膝関節症の治療薬としての可能性が期待されています。海月研究所では、化粧品、医療分野においてクラゲの活用を提案しているほか、クラゲのコラーゲンを関節の痛みを軽減する機能性食品素材にするための臨床試験も目指しています。クラゲを有効な素材として活用することで、循環型社会に貢献するとともに、ライフサイエンス分野の未来を創造し、世界の人々のQOL(Quality of Life)向上に貢献することを目指します。なお、海月研究所は、サーキュラービジネス視点の取り組みが「Circular Yokohama※」に取り上げられているほか、事業がSDGsの取り組みに合致するとして、「かながわSDGsパートナー」にも登録されています。