エネルギー業界を取り巻く事業環境が今後大きく変化していくことが予測される中、当社が持続的に成長をするためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)を全てのビジネスプロセスにおいて積極導入し、業務の高度化、新たなニーズに沿ったサービスの提供を続けていくことが必要不可欠です。その認識の下、当社は2030年に向けた基本方針「ビジネスプラットフォームの進化」を掲げ、DXの加速の取り組みを進めています。
2020年1月にデジタル変革室を立ち上げ、複数の実地検証と企業風土醸成に向けた社内啓発を開始しました。2021年7月には部門横断で取り組んでいたBPR機能を集約し、デジタル・DTK推進部(現:デジタル・ICT推進部)として、新たな社会価値・顧客価値の創造、従業員体験向上加速を進めています。
当社は、2021年4月1日付でDX認定(経済産業大臣による認定)を取得しました。また2021年には、経済産業省と東京証券取引所が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄2021」(「DX銘柄」)に選定されました。
デジタル・DTK推進部(現:デジタル・ICT推進部)では、社内外のあらゆる価値提供を、データによってつないでいき、デジタルビジネス基盤を作ることに主眼を置いております。
その最大化のための専門性の高いDX人材と、機動力のある組織体制とを兼ね備え、DXを実行、推進しています。
業務プロセス変革を全社横断的に進めるために、事業部間のシナジー創出や全体最適化に資する複数の実地検証を2020年4月よりスタートし、各成果確認後、スモールスタートを切るなど、着実に進捗しています。
また2020年4月は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などにより、製造技術部門を除く全社の9割以上の社員が在宅勤務となりました。DXという面ではウェブ会議やペーパーレス化、電子承認システムなどの活用が進み「これまでの働き方を大きく変えていける」という意識が社員に醸成されました。2021年9月末時点でも在宅勤務が可能な職種の部門においては出社率30%未満を継続しています。
企業風土醸成を目的とした社員向けオンラインセミナーを実施し、当社のDX推進の必要性や将来像の説明、社内事例紹介、社外の有識者とのパネルディスカッションなど、幅広いコンテンツで全社の変革に向けた取り組みを進めています。
社内DX案件の一つとして保全業務の変革を対象とし、従来と異なるアプローチ(アジャイル・デザインシンキング)にて、今までの業務のやり方を見直しながら効果検証を行いました。
製油所、関係部門でDX推進体制を組み、継続した業務プロセス改善を100日単位で実行した結果、修繕費の削減、業務効率化によ る競争力強化の可能性を見いだすことができました。
また、本取り組みは、旧来の発注者・受注者の関係ではなく、One Teamとなってより良い製品を作り続けるという組織風土醸成に もつながりました。
その後も変革スコープの拡大に向けた検討を開始し、実証で得られた知見を、他プラントに適用を拡大しています。今後も、業務プロセス改善を推進・継続し、事業間を超えたシナジー効果の創出を目指していきます。
既存事業で新たな顧客価値を創造していくためには、当社のアセットを最大限生かした新たな取り組みが欠かせません。例えばSSでは、お客さまが給油に来てくださるのをただ待っているだけでなく、こちらから情報を発信し、SSを新たな体験ができる場所へと変貌させていく必要があります。「スマートよろずや」構想にある、apollostationネットワークを地域住民の生活を豊かにする新しい時代のよろずやとして、地域固有の課題解決などお客さまの多様なニーズに対してベストなタイミングで最適なサービスを提供するために、蓄積されたデータを利活用し、お客さま一人ひとりに寄り添った、サービスを実現していきます。
特約販売店のデジタルトランスフォーメーションをサポートする新しいポータルサイト「apollostation ポータル」のサービスを2021年1月から開始いたしました。特約販売店やSSの業務には欠かせない発注システム、人事管理システム、顧客管理システムなどの業務システムをポータル上で一元管理することができます。また、ポータルサイトのWeb会議システムを活用することで、SS間のミーティングや支店で開催する説明会、研修会にオンラインで参加することが
できるようになりました。2021年5月末時点で、全国の特約販売店約1,200社、約8,000名がポータルを活用されており、ご好評をいただいています。「apollostationポータル」を活用したグループ全体の「働き方改革の推進」と「新規ビジネスの創出」を推進していきます。