日本政府が2050年カーボンニュートラルの実現を宣言する中、その具体策の一つとして水素・アンモニアによる水素キャリア・チェーン実現に向けた官民による取り組みが加速しています。当社は、2020年度、国土交通省のカーボンニュートラルポート検討会に徳山事業所やグループ製油所が参画するなど、水素・アンモニアサプライチェーン構築に向けた検討を進めるとともに、海外からのブルー・グリーンアンモニア調達に向けた他社との協業を検討してきました。中でも徳山事業所は2014年に原油精製設備を停止し、石油化学原料の製造拠点として石油精製事業からの転換をいち早く完遂しました。2021年2月には従来比約30%の省エネルギー効果を発揮できる高効率ナフサ分解炉の稼働を開始し、さらに2022年稼働予定のバイオマス発電所の建設等、脱炭素に向けた取り組みを加速させています。これらの取り組みは、石油精製事業で従来使用していたインフラを活用することで、効率的に実現しています。 また、当社は、(株)IHIと、当社徳山事業所においてアンモニアサプライチェーン構築に向けた検討に共同で取り組んでおります。徳山事業所の貯蔵施設・石油化学装置などの既存設備を活用し、同事業所のアンモニア輸入基地化、既設ナフサ分解炉等でのアンモニア混焼実証を検討しています。また、今後、海外からのブルー・グリーンアンモニアの輸入、コンビナート他近隣事業所へのアンモニア供給を検討します。 両社の強みを生かして、世界的にも先進的なアンモニアサプライチェーンを早期に実現することで、カーボンニュートラル社 会の実現に貢献してまいります。
当社、東芝エネルギーシステムズ(株)、東洋エンジニアリング(株)、(株)東芝、日本CCS調査(株)、全日本空輸(株)の6社は連携して、「持続可能な航空燃料(SAF)※1」を製造する、P2C※2による炭素循環ビジネスモデルを検討してきました。この取り組みが2021年8月、環境省の委託事業に採択され、今後6社は地域のインフラや特徴を生かしてカーボンリサイクルを地域内で実現させ、脱炭素化の促進と地域振興を両立させる検討を行います。具体的には、各社が持つ知見・技術や関連するプラント設備等を生かし、CO₂の分離回収からSAF製造、消費までの全工程について検討し、得られたデータ・知見を、地域における炭素循環社会モデルに反映させ、事業成立性を評価します。6社は本実証事業を通し、炭素循環に基づくSAFサプライチェーンの商業化や、地域の活性化の促進に貢献していきます。当社は、SAFの認証制度・規格調査、SAF混合設備および品質管理の基本計画作成の役割を担っています。