役員メッセージ

酒井 則明

代表取締役副社長 副社長執行役員

酒井 則明

2023年度は一昨年11月に公表した中期経営計画の初年度にあたり、経営目標達成に向けて重要な年であると考えています。
当社の事業環境に目を向けますと、コロナ禍における需要減などの影響は一服しましたが、世界的なインフレ進行や地政学リスクの顕在化など一層不透明で環境変化の大きい時代に入っていると感じています。

当社は、中期経営計画の中で事業ポートフォリオ転換により資本収益性を高め、2030年度 ROIC7%、ROE10%の達成を打ち出しました。企業価値向上に向けては、既存事業を中心に資本収益性を更に改善できるものと考えており、より高い目標が必要との結論に達し2025年度のROE目標について見直しを行いました。2025年度ROE目標8%は10%以上とし、目標達成に向けて、燃料油や高機能材事業など既存事業の収益力の向上に挑戦します。また、ベトナムニソン製油所、電力・再生可能エネルギーは課題事業と位置付け、早期の安定的黒字化を目指します。

事業ポートフォリオの転換により、既存事業を脱炭素、成長事業にシフトし、収益構造を転換する必要があると考えています。当社は2030年までに1兆円の事業構造改革投資を計画しており、どの分野に重点的に投資すべきかについて、投資スクリーニングを通じて現在集中的に議論しています。経営統合やここ数年の資源価格高騰などを受け、足元の財務健全性は高まっていますが、当社の将来を大きく左右する非常に重要な経営判断となるため、スピード感を持ちながらも十分な議論を重ねていきたいと考えています。

CNXセンター

澤 正彦

取締役 常務執行役員

澤 正彦

2030年の石油需要は2022年度比で約2割程度減少する見通しのもと、2024年3月に西部石油の精製機能を停止する決断を行いました。今後も、当社は将来の環境変化を見据えながら、各製油所・事業所体制の見直しと競争力強化(コスト削減・効率化)を推進し、重要なエネルギー・素材である石油製品・石油化学製品の安定供給を行ってまいります。

また、当社グループの製油所・事業所は、長年にわたって地域の皆さまに支えられながら共に歩んでまいりました。培ってきた知識、経験、技術力および既存インフラは、2050年のカーボンニュートラルに向けた貴重な財産となります。一方、当社はこれまで、中東・環太平洋などの多くの国・地域における行政を含めたパートナーとの間で、化石由来のエネルギー輸入をはじめとした各種ビジネスを通じて、長年にわたり信頼関係を構築してきました。これらの大切な財産や信頼関係に基づき、国内外の各行政機関・自治体・関連企業と連携しながら、水素、アンモニア、バイオマス、資源循環、CO2固定化、合成燃料などのメニューの中から、各製油所・事業所の特徴に適した「CNXセンター」への事業変革を進めてまいります。

当社は、石油製品・石油化学製品の安定供給を継続しながら「CNXセンター」化を着実かつ迅速に進め、足元から将来に亘って、地域の皆さまの移動・エネルギー・暮らしを支え続けてまいります。

※ CNX(Carbon Neutral Transformation)

先進マテリアル

中本 肇

専務執行役員(兼)
先進マテリアルカンパニー
プレジデント

中本 肇

当社は、変わりゆく事業環境への対応や関連事業全体を俯瞰した戦略立案・運営を行うべく2022年7月に 先進マテリアルカンパニー を設立しました。

現在、2050年に向けた事業領域として中期経営計画に掲げた「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けて、高機能材事業の3つの注力分野の具体化を進めております。3つの注力分野においては、これまで培ってきた「有機・無機合成」、「光・電気化学」、「生物変換技術」などの技術を融合させると共に、アカデミアとの包括的な取り組みやスタートアップへの出資など技術革新を生み出すさまざまな社外連携を強く推進してまいります。

既存事業においては着実な収益とキャッシュ・フローを確保すべく不採算事業の見直し、生産集約などを行い、新規事業開発推進に向けた基盤を整えてまいりました。

今後は新規事業を含めポートフォリオ変革に向けた具体化をさらに加速させ、激しい環境変化においても収益の維持拡大が実現できる筋肉質な事業体を目指して取り組んでまいります。

※ 「電化・電動化ソリューション」、「バイオ・ライフソリューション」、「ICTソリューション」

燃料油・スマートよろずや

森下 健一

常務執行役員

森下 健一

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社は「3つの事業領域」の社会実装を通じて事業ポートフォリオの転換を推進してまいります。燃料油セグメントでは、とりわけ「一歩先のエネルギー」と「スマートよろずや」の社会実装に取り組んでいます。

「一歩先のエネルギー」では、いつの時代も“常に”一歩先のエネルギーを「安定供給」することで、人びとの暮らしと地球環境を守る責任を果たしてまいります。足元では、「SAF」「バイオディーゼル/バイオ重油」の原料調達から製造、物流、製品供給までの安定的なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。また、2030年に差し掛かるタイミングで「水素」「アンモニア」に加えて「合成燃料」を「一歩先のエネルギー」にラインナップに加えるべく、実証を進めてまいります。

「スマートよろずや」では、我々のブランドであるapollostationが、それぞれのまちの人と豊かなくらしをサポートする「生活支援基地」へ進化することを目指しています。「いろんなa!を、このまちに。」の新スローガンのもと、apollostationは、それぞれのまちのニーズに即してYOROZU(無限に多様に)に進化し、エネルギー・モビリティを支える存在となるべく取り組んでまいります。

2021年4月より展開をスタートしたapollostationは、2023年末で約1,300台のローリー・物流システム、約6,000カ所のSSに至るまで、全てのブランド統合が完了します。当社は重要なパートナーである特約販売店・運送会社の皆さまと共に、将来にわたってお客さまに支持され続けるapollostationブランドを目指してまいります。