Strategies for Business Structure Reforms

事業構造改革への取り組み

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出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

CNXセンター

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取締役常務執行役員

澤 正彦

2023年11月

役員メッセージ

2030年の石油需要は2022年度比で約2割程度減少する見通しのもと、2024年3月に西部石油(株)の精製機能を停止する決断を行いました。今後も、当社は将来の環境変化を見据えながら、各製油所・事業所体制の見直しと競争力強化(コスト削減・効率化)を推進し、重要なエネルギー・素材である石油製品・石油化学製品の安定供給を行ってまいります。

また、当社グループの製油所・事業所は、長年にわたって地域の皆さまに支えられながら共に歩んでまいりました。培ってきた知識、経験、技術力および既存インフラは、2050年のカーボンニュートラルに向けた貴重な財産となります。一方、当社はこれまで、中東・環太平洋などの多くの国・地域における行政を含めたパートナーとの間で、化石由来のエネルギー輸入をはじめとした各種ビジネスを通じて、長年にわたり信頼関係を構築してきました。これらの大切な財産や信頼関係に基づき、国内外の各行政機関・自治体・関連企業と連携しながら、水素、アンモニア、バイオマス、資源循環、CO2固定化、合成燃料などのメニューの中から、各製油所・事業所の特徴に適した「CNXセンター」への事業変革を進めてまいります。

当社は、石油製品・石油化学製品の安定供給を継続しながら「CNXセンター」化を着実かつ迅速に進め、足元から将来にわたって、地域の皆さまの移動・エネルギー・暮らしを支え続けてまいります。

  • ※ CNX(Carbon Neutral Transformation)
CNXセンター化構想

当社が掲げるCNXセンター化構想とは、化石由来のエネルギー製造拠点として長年操業してきた製油所・事業所の特徴・強みを活かしながら、新たにカーボンニュートラル燃料・製品の供給拠点として生まれ変わらせることです。その際、各拠点が所在するコンビナートの特色や需要に応じた新たなサプライチェーンを構築し、コンビナート全体での「カーボンニュートラル化」に貢献します。

「CNXセンター」化構想イメージ
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北海道苫小牧エリアにおけるCCUS実施に向けた共同検討

当社、北海道電力(株)、石油資源開発(株)の3社は、北海道・苫小牧エリアにおいて、3社の事業拠点や強みを活かしたCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage:CO2の回収・有効活用・貯留)の実現に向けた共同検討を開始しました。苫小牧エリアの複数の地点をつなぐCCUS事業を2030年度までに立ち上げることを視野に、CO2排出地点とCO2回収設備、CO2輸送パイプラインに係る技術検討、CO2貯留地点の適地調査などを中心に、具体的な調査・検討を進めます。また、CO2を貯留するだけでなく、資源として活用し合成燃料製造にも挑戦していきます。

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徳山事業所・周南地区におけるアンモニアサプライチェーン構築

当社、東ソー(株)、(株)トクヤマ、日本ゼオン(株)の4社は、2030年までに周南コンビナートにおける年間100万トン超のカーボンフリー燃料アンモニアの供給体制を確立することを目的とした共同検討を開始しました。当社徳山事業所の桟橋・貯蔵施設を周南コンビナートにおけるアンモニアの共通供給拠点として整備し、周南コンビナート各社(需要側)へのアンモニア供給インフラ検討を行います。また、今後4社は本事業をベースとして、実装置でのアンモニア燃焼実証などのさまざまな取り組みを通し、周南地区における国内初のアンモニアサプライチェーンの構築を推進します。

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千葉事業所におけるATJプロセス技術によるSAF製造

当社は、世界初の10万kL級ATJ実証設備の開発に取り組み、2025年度に千葉事業所内にATJ技術によるSAF製造装置を建設し、2026年度から供給を開始します。原料となるバイオエタノールについては国内外からの調達の多角化を進めて国内初の大規模サプライチェーンを構築し、SAFの早期社会実装を目指します。2030年には年間50万kLの生産体制を構築いたします。

  • ※ ATJ:Alcohol To Jet
    エタノールからSAFを製造する技術・プロセスで、SAFの国際規格「ASTM D7566 Annex5」として認証されている。
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国内での合成燃料普及促進に向けた取り組み

当社は、南米・北米・豪州などで合成燃料(再生可能エネルギー由来の水素と大気中のCO2を合成することで生成されるCN達成可能なエネルギー)の製造を行うHIF Global(HIF社)と、合成燃料の生産や日本での実用化・普及を加速させるための戦略的パートナーシップに関する基本合意書を締結しました。国内で回収したCO2の国際輸送と活用(原料化)、海外プロジェクトからの合成燃料調達と国内供給および当社製油所・事業所における合成燃料生産検討を進め、2020年代後半までに国内での合成燃料生産・供給体制確立を目指します。

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出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

先進マテリアル

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専務執行役員
(兼)先進マテリアルカンパニー
プレジデント

中本 肇

2023年11月

役員メッセージ

当社は、変わりゆく事業環境への対応や関連事業全体を俯瞰した戦略立案・運営を行うべく2022年7月に先進マテリアルカンパニーを設立しました。

現在、2050年に向けた事業領域として中期経営計画に掲げた「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けて、高機能材事業の3つの注力分野の具体化を進めております。3つの注力分野においては、これまで培ってきた「有機・無機合成」、「光・電気化学」、「生物変換技術」などの技術を融合させると共に、アカデミアとの包括的な取り組みやスタートアップへの出資など技術革新を生み出すさまざまな社外連携を強く推進してまいります。

既存事業においては着実な収益とキャッシュフローを確保すべく不採算事業の見直し、生産集約などを行い、新規事業開発推進に向けた基盤を整えてまいりました。

今後は新規事業を含めポートフォリオ変革に向けた具体化をさらに加速させ、激しい環境変化においても収益の維持拡大が実現できる筋肉質な事業体を目指して取り組んでまいります。

  • ※「電化・電動化ソリューション」、「バイオ・ライフソリューション」、「ICTソリューション」
高機能材事業の成長における3つの注力分野
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高機能材事業の成長における3つの注力分野

高機能材事業の成長に向けた3つの注力分野は当社グループが長年営んできた石油・石油化学事業との関連性が高く、最終製品のバイオ化のみならず、共通の原料調達、既存アセットの活用などが可能です。例えばリチウム電池材料事業は製油所の副生物である硫黄化合物を原料として活用しています。

電子材料事業で培った発光材料設計技術や微生物を活用したバイオ技術など、核となる保有技術を軸に自社バリューチェーンなど強みを生かしつつ、社外の研究開発機能や新規技術を積極的に組み合わせることで、各注力分野の強化・拡充を推進しています。

バイオ・ライフソリューション
微生物を利用したものづくり

従来の原油精製から始まる石油化学のチェーンと、そのCN化によるチェーンに並ぶ新たなチェーンとして「バイオものづくり」を位置づけ、当社のバイオ技術を基に社会実装にむけた取り組みを行っていきます。

当社は、農薬や飼料用添加物などにおいて1970年代より蓄積した微生物関連技術を基盤とし、アカデミアやスタートアップと連携し、技術革新を進めています。

(株)バッカス・バイオイノベーションへの出資や世界トップレベルの微生物開発技術を有する神戸大学と共同研究部門を設立しました。

今後バイオものづくり領域の技術開発を加速させ、将来的には原料確保からスマートセル※を活用した有用物質の製造まで一気通貫のバイオものづくりチェーンの構築を目指します。

  • ※スマートセル:遺伝子改変技術と情報解析との組み合わせにより、目的物生産量を最大化した生物・細胞
社会実装に向けたバリューチェーンの構築
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電化・電動化ソリューション
リチウム電池材料の事業化

全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)は、主に電気自動車(EV)の安全性、充電速度、航続距離の向上に貢献する技術として早期実用化と普及拡大が期待されています。

当社は、製油所より副生される硫黄化合物を用いた原料製造技術を基盤とし、全固体電池のキーマテリアルである固体電解質の事業化を目指し、材料の性能向上および量産技術の開発を加速させています。

全固体電池の量産実現に向けては、2023年10月、トヨタ自動車(株)との協業を開始しました。

またスイス、韓国、米国の拠点を活用し、日本のみならずグローバルで自動車、電池材料の各メーカーとの共同取り組みを強化します。

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トヨタ自動車(株)との共同会見の様子
出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ