デジタル変革
CDOメッセージ
常務執行役員
CDO
小林 総一
2023年11月
企業が持続的に成長するためには挑戦や変化は必要であり、それにはDXが当たり前の環境となっています。DXには様々な対象と方法論がありますが、重要なことはお客様、ビジネスパートナーの皆さま、従業員がデジタル化の利益を実感できており、その上で変革を進めていくことにあります。
お客様に快適に当社サービスを利用いただくため、現在SS(サービスステーション)でご利用いただける「DriveOn」の機能を拡張し、インターフェイスもより魅力あるものにしていく計画です。
ビジネスパートナーの皆さまとの接点を含めたサプライチェーンや間接業務を棚卸し、デジタルを組み込んだ業務に変革することで生産性を向上させる「生産性向上30%」活動にも取り組んでいます。検討中のものも含めて数十件のPJが立ち上がっており、たとえば少量多品種が特徴である潤滑油事業ではデータ解析ツールを活用し、製造・販売計画、収益管理分析を短時間で完了させることが可能となっています。また、全社員が生成AIの活用や、データベースの簡易利用ができる環境整備なども進めています。
これらの活動を支えるのは人であることから、DXを進めるためのスキル教育に取り組んでいます。デジタル人財の育成過程を三つのステージに分け、夫々のステージにおける教育プログラムの充実を進めています。デジタルリテラシーの基本知識習得を目的とするベーシックステージについては、すでに約2,000名の社員が該当しているところです。
この教育で得た知識を実践し、生産性向上につなげるとともに、新たな価値創出につなげることができる環境作りを進めていきます。
戦略
戦略骨子
出光興産は、①お客様の新たな価値創出と、②社内の生産性向上、の両輪でDXに取り組んでいます。
新たな価値創出においては、各事業の情報を情報活用基盤で整理・統合し、情報に基づいたサービス提供と顧客体験の進化を目指すとともに、クロスマーケティングを実現し、新たな価値提供を可能とします。また、スマートよろずや構想のもと、パートナーと連携し、地域に応じたサービスをタイムリーに提供するためのメニューの用意と、それに一元的にコンタクトいただけるお客様インターフェイスを構築していきます。
これら価値創出に必要なリソースを確保するためにも、生産性の向上は重点課題と位置付けており、デジタルを活用した取り組みを2022年度より強化しています。
取り組み
生産性の向上
生産性向上の取り組みは、a.全社員共通のデジタルワークスタイル進化と、b.部門戦略実現のための取り組み、に大別できます。
デジタルワークスタイルの進化の一つとして、生成AIの活用は不可欠と考えています。現在ChatGPTを安全に活用できる出光版ChatGPT環境を構築し、全社員の活用を促しています。今後は、自社独自のデータベースとの連携を進め、自社業務の効率化のために生成AIの活用度を高めていきます。また、ノーコード※、ローコード※のアプリ開発を可能とする環境構築と教育の場を提供することで市民開発者の拡大と、そのコミュニティ強化による情報連携の活発化を図っていきます。
一方、各事業部の戦略実現のための生産性向上については、事業部門とデジタル部門の共創型PJチームを構成してこれに取り組んでいます。課題となっているプロセスを対象に、業務フローと情報フローを可視化し、ボトルネックや重複を確認した上でデジタルによる対策を加えていくという手法を展開しています。また、国内外のデータを一元管理し、グローバル全体での業務最適化の検討を可能とする環境構築を進めるとともに、事業横断でのデータ可視化を進め、意思決定の迅速化を目指しています。これら各部門のそれぞれの取り組みは、社内ポータルサイトで公開しており、他部門の活動に生かせるよう情報共有を進めています。
活動事例:システム高度化による配車作業の効率化
燃料油の受注配車業務については、AI技術を活用し、実務担当者の業務を効率化するシステムの導入を計画しており、2023年度内の導入に向けてプロジェクトを推進中です。
計画配送を行っているSSのタンク在庫予測とオーダー作成モデル・配車計画最適化モデルの構築とシステム化を行い、属人性の高い需要予測・オーダー作成・配車計画業務を、①品質を保ちつつ作業時間を25%削減すること、②SSの需要予測による計画配送先の在庫切れ防止などの効果を創出することなどを目指しています。
DXを支える人財育成
当社は「DXを支える人財育成」を重点課題と位置付け、全社員が自律的にデジタル技術を活用していくために、必要となる知識・スキルの体系化と、その体系に沿った育成プログラムの展開を進めています。
現在は、DXに関する基礎的な知識、思考方法を理解できるレベル「ベーシック」を強化しています。加えて、実装をリードできる「コア」、「エキスパート」の育成に向けては、習熟度と身につけたいスキルに応じて一人一人に最適化したeラーニングに加えてハンズオントレーニングや実プロジェクトを通した育成プログラムを展開していく計画です。
「ベーシック」のeラーニング受講者は2023年6月末時点で2,000名を超えています。今後2030年度までに、「ベーシック」10,000名超、「コア」3,000名超、「エキスパート」450名超の育成を目指しています。
BPR活動「従業員との共創(Digital for Idemitsu)」
2020年4月よりBPR活動「Digital for Idemitsu」をスタートしました。ビジネスプロセス全体をデジタル技術で変革させ新たな社会価値・顧客価値を創造するとともに、従業員が共創の体験と知見を積み重ねることに取り組んでいます。
複数の実地検証を行い、各成果を確認のうえ、スモールスタートで業務プロセスを改善しています。事業部間のシナジー創出や、事業部内の情報を全体最適化するなど、着実に進捗しています。
●Digital for Idemitsuの主な取り組み
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評価
DX認定
当社は、2021年度に初めてDX認定(経済産業大臣による認定)を取得し、続いて2023年度も認定を取得しています。