Idemitsu Group’s Sustainability 出光グループのサステナビリティ

社外取締役対談

社外取締役対談

写真
DE&I推進の学びを経営に生かし、よりサステナブルな会社へ

当社DE&I推進委員会のアドバイザーを務める荷堂社外取締役をお迎えし、昨年の統合レポートでメッセージをいただいたDE&Iの取り組みに対する評価と、さらなる企業価値創造に向けた期待について、平野副社長と語り合っていただきました。

2023年11月

ジェンダーを入り口に多様性をいかに広げるかが課題

―― 2022年からの1年を振り返って、D&I推進の評価と課題をお聞かせください。

荷堂 この一年は実行に落とし込む年として取り組んできました。具体的にはダイバーシティではジェンダーに焦点を当て課題抽出と解決策の策定を、インクルージョンでは目指す姿である北極星を定め、着実に進んだと評価しています。中でも、男性の育児休業取得に関しては目覚ましい成果が出ています。

男性育児休業取得率
図
  • ※ 集計対象:出光興産雇用(すべての従業員、他社への出向者も含む)
  • ※ 2021年度、2022年度ともに年度末時点の実績
  • ※ 上記には育児目的休暇を含む

平野 普段の会話でも自然に聞かれるようになるなど、男性が育児休業を取ることが特別なことではなくなったのは大きな進展だと感じています。取得率をさらに伸ばし100%にするのが目標であり、そのためにどう要員を補充していくかが課題です。

荷堂 職場で休暇取得をカバーした人たちにもベネフィットが感じられるようにする必要があります。最初は女性にフォーカスし、ジェンダーを取っ掛かりとしましたが、それを病気や介護、障がいなどの事情を持つ人にまで、どう広げていけるかが今後の課題です。ただ出光興産は、さまざまな施策を発案してから実行に移すまでが、とても早いと感じています。そして、その後のフィードバックからさらにアクションにつなげるサイクルがうまく回っているので、早期に課題解決に向かうと実感しています。

平野 ありがたいご評価ですが、逆を言えばD&Iに関しては当社が世界のスタンダードから立ち遅れていて、やるべきことが多かったとも言えます。その自戒の下、今後も着実に実行を進めていきます。

より多くの人が経営に参画するために

―― 2023年6月に、これまで掲げてきた「D&I」の方針に「エクイティ(Equity:公正性)」の考え方を加え、「DE&I」へと発展させました。その背景や想いをお聞かせください。

荷堂 D&Iに関して社員の皆さんから多くのフィードバックをいただく中には、「女性ばかりが優遇されるのでは」といった意見もありました。女性を一律に台座に乗せるだけでは、そうした意見が出ることは想像できますし、女性にとっても十分なサポートが得られるとは言えません。高い台座が必要な人がいれば、低い台座で良い人もいる。もしかしたら、スロープや電動昇降が必要な人もいるかもしれません。一人ひとりの状況に合わせてツールやリソースを用意し、誰もが参画し成功する機会を得られるようにすることが「E(エクイティ)」なのです。

平野 荷堂さんからご説明いただいた通りです。加えて経営の視点から言えば、私たちはこれから正解が見えない混迷の世の中を、さまざまな手探りをしながら新しい価値を創造し、前に進んでいかなければなりません。そのためには、より多くの人に経営に参画してもらわなければならない。「D(ダイバーシティ)」と「I(インクルージョン)」と、さらに誰もが経営に参画できるようにするための「E(エクイティ)」の重要性が、経営課題とともに強く認識された背景があります。

図

―― 「E(エクイティ)」を実現するために必要なことは何でしょうか。

荷堂 実際にどのようなサポートが必要か、想像するだけでは難しいでしょう。社員の皆さんから「こういうサポートがあれば助かる」といった意見が、風通しよく上がってくるような環境を作っていくことが求められます。また、人事担当部門やDE&I推進委員会などが、広く社員の皆さんからそれぞれの事情を聴き、意見やアイデアを集めていくことも必要です。

平野 当社はあるべき企業風土として「O(オープン)F(フラット)A(アジャイル)」を掲げていますが、今、荷堂さんのお話にあったように、オープンかつフラットに、広く意見を集めていきたいと思います。そして、「E(エクイティ)」の台座を変えるようないろんな取り組みを、アジャイルに進めていきたい。発案があれば躊躇せずに、まずはやってみて、良ければ展開し、悪ければ見直す。そうしてタイムリーな施策を展開したいと考えています。

荷堂 アジャイルに進めるには、「やめる勇気」が必要です。エキサイティングに導入した新しい施策であっても、改善した方が良いと思えば、そこに固執することなく柔軟に変えていくこと。これは経営にも通じる大事なポイントだと思います。

写真

平野 そこは、私たちがまだまだ学ばなければいけない点でしょう。「やめるものはやめる」という冷静な判断を習慣づけることで、よりアジャイルなアクションが取れるような企業風土に、DE&Iへの取り組みとともに進化させていきたいと考えています。そして、DE&Iは会社として取り組んでいる以上、やはり会社の業績に貢献することが大変重要です。そういう意味で、独立したあるべき活動というよりは、しっかりと会社の発展に寄与できるよう連携した取り組みを行っていきたいと考えています。

DE&I推進委員会
  1. 主な役割・機能
    • DE&I推進に関する課題の抽出と経営陣への提言
    • 取締役会への定期的な報告
    • その他、全社横断的な取り組みの企画・推進
  2. 構成メンバー (男性5名、女性4名)
    委員長: 代表取締役副社長(男性)
    委 員: 代表取締役副社長(男性)、上席執行役員(男性)、販売部支店長(女性)、人事部長(男性)、技術戦略部次長(男性)、グループ会社社長(女性)、調達部課長(女性)
    アドバ
    イザー:
    社外取締役(女性)
  3. 活動実績
    第1期(2021年10月~2022年6月):
    • 企業理念に紐づくD&I推進の全体像の整理
    • ありたい姿から逆算した数値目標の設定
    • 目標と現実のギャップを埋めるための施策提言
    • (同性パートナー婚制度改定、非出産者育休のトライアル実施など)
    第2期(2022年10月~継続中):
    • エクイティの理解浸透(D&IからDE&Iへ)
    • 女性活躍推進における課題の深掘り
    • 「5つの提言」パブリックコメント実施
    • 単身赴任解消のトライアル実施、マイノリティ体験施策の導入など)
一般消費者の視点を意識した事業活動を

―― 更なる価値創造に向けて、当社に必要な観点は何でしょうか。

荷堂 今後は一般消費者を視野に入れたマーケティングや広報活動が、とても重要になってくると考えます。中期経営計画の柱のひとつである、「スマートよろずや」は、とても良い着眼点だと思うので、もう少しスピーディにさまざまな施策を進めていきたいところです。せっかくDE&Iの取り組みがスピーディに進んでいるので、その学びを「スマートよろずや」をはじめ、全社的なマーケティングや広報活動で活かすことができるでしょう。

平野 仰る通りだと思います。DE&I推進における私自身の学びとしては、経営の立場だけでなく、さまざまな社員の立場から物事を考えることができました。例えば「スマートよろずや」では、これまでどうしても供給者の立場が強く出てしまいましたが、これからはもっとお客さまの立場に立ちニーズを充足していくことを考えていきたい。マーケティングや広報活動についても、受け取る側の立場で物事を考えていけば、大きな違いを生み出すことができるはずです。それは私たちが本当に学ばなければいけない点だと認識しています。

荷堂 例えば、広報でメディアに露出する際も、単発で施策を訴求するのではなく、受け手側が理解しやすいストーリーで発信するなどの戦略が必要です。出光興産は、せっかく良いアセットをたくさん持っていますから、それを最大限に活用し、アピールしなければもったいないと感じています。

平野 これまでは事業部単位での発信が多かったのですが、コーポレート全体のストーリーとして打ち出すことによって、私たちの事業・取り組みの社会的な意義や、目指す世界が、より広い見地でご理解いただけるようになると期待感が高まりました。

荷堂 私は出光興産の最大のアセットは、「人」だと思っています。オンボーディングの一環としてさまざまな事業所に行かせていただく機会がありますが、お会いする人皆が自分の仕事に誇りと情熱を持っていらっしゃいます。広報活動やマーケティングでも、社員の皆さんとその家族の方々も含めて、素晴らしい会社に勤め意義ある仕事をしていることを誇りに思えるような活動をしていきたい。それがDE&Iの促進にもつながると考えます。

平野 当社の「人」をご評価いただけるのは、大変嬉しいことです。その大切な人財の力を100%引き出せているかについて、経営としてしっかりと課題認識を持ち、制度や仕組みの整備に取り組んでいきます。そして最大のアセットである「人」を、より価値あるアセットにしていくことが、DE&Iで目指すところでもあります。

サステナブルな会社に必要な要素は全てある

―― 最後に、出光興産への期待をお願いします。

荷堂 DE&Iの根本であるサステナブルな会社であり続けるということです。出光興産ですと、今はどうしてもカーボンニュートラルが一番大きな課題となっていますが、環境的にサステナブルということだけではなく、会社としてずっと成長しながら持続していけること ――そういうサステナブルな会社であり続けるために必要な要素は、全て出光興産の中にあると感じています。今後はそれらの要素を、さらにどう成長させていくかが問われます。例えば人的資源であれば、社員の皆さんが会社に愛着を持ち、ブランドに愛着を持ち、長くパフォーマンスを発揮しながら仕事を続けていただけるようにしていくこと。ちょっとした工夫で上手くいく素地はあると思うので、それらを最大限に花開かせていきましょう。

平野 まさにサステナブルな会社に向けては、事業の中身が今後どう変化していくかも分かりません。当社は、社名が「エネルギー」でも「石油」でもなく、「興産」。社会の期待にどうお応えするかによって、事業のあり方はどんどん変わっていくと考えています。その中で人的資源は、サステナビリティの最も重要な要素です。優秀・有為な人財が、「この会社で働きたい」と思えるような、また、一旦入社したら長期間活躍できるような、魅力ある会社にしていくことが極めて重要だと考えています。サステナブルな会社を目指し、DE&Iをはじめさまざまな活動に励んでまいります。

写真
出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ